あなたに見えてる沖縄は、見たままのものとは限らない
防衛省の令和6年度(2024年度)予算の概算要求が8月31日に公開されました。
あくまで概算要求なので、今後いろいろな折衝を経て予算案となり年明け後の通常国会での審議を経て成立すれば正式に予算となるのですが、内容は注目です。なんたって2022年の年末にざわつかせた「安保3文書」のあとですからね。
そんな概算要求から、装甲車に関する話。
装甲車の中でも、歩兵など兵士が乗って移動する装甲兵員輸送車(APC)。
この用途で自衛隊が使ってる車両のひとつ、96式装輪装甲車の後継は、フィンランドのパトリアが開発した「AMV(厳密には改良型のAMV XP)」に決まってます。
その一方、「共通戦術装輪車」の開発が国内で進められてました。
2024年度の概算要求では、どちらも調達が盛り込まれました。
共通戦術装輪車は、歩兵戦闘車仕様24両と機動迫撃砲仕様8両。
AMVは28両。
タイヤで8輪駆動の似たような車を、2種類同時に調達。メンテナンスなど効率が悪いように見えます。それでもそうするのはなぜか。
陸自としては共通戦術を即応機動連隊、AMVをほかの部隊に入れる考えのようです。共通戦術装輪車は即応機動連隊に配備されている“タイヤで走る戦車みたいな車”16式機動戦闘車がベースといわれており、中でも歩兵戦闘車型は30mm機関砲の砲塔を搭載しており、兵員輸送車よりも戦闘任務に踏み込んだ能力を持つ「歩兵戦闘車」という役割を担ってます。
AMVでも歩兵戦闘車仕様はあるのですが、即応連隊の中で似た体格の車は同じ系統で揃える方が運用や管理の面でメリットがありますからね。
あと、AMVの採用決定時には国内でのライセンス生産も言及されてましたが、概算要求公開の翌日、9月1日に日本製鋼所が担当すると発表がありました。
日本製鋼所は国内で貴重な火砲を作る製鉄・機械の企業。「車は作れるの?」と思うでしょうが、実は今作ってるんですよね。19式自走榴弾砲の車体部分(ドイツのMANのHXシリーズのライセンス生産)もやってます。
小松製作所が装甲車両の新規開発から撤退した中で、三菱重工以外に作ることができる場が欲しかったという判断もあるのでしょう。
96式の後継を巡って、一旦決まった試作車が中止になる迷走などを経てたどり着いた現在。
ツッコミたい点はありますが、有事の可能性がある中で必要なものを必要な時に揃えるのも大事。外国製品から知見を得るのもあり。少しでも前向きに進んでほしいものです。
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