あなたに見えてる沖縄は、見たままのものとは限らない
米軍の普天間基地(普天間飛行場)をキャンプ・シュワブに移す工事。“辺野古新基地”ともいわれる件。
これに関して、2月に実施されるのが、工事に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票。
2018年10月に沖縄県議会で条例が成立、県側での準備に加えて、各市町村でも予算など準備が進められて…という段階のはずですが、ここでひと悶着となってます。

県民投票の実施に必要な予算が自治体の議会で否決されたり、自治体のトップが投票事務をやらない(=不参加)と表明する事態が複数発生してます。

これを巡る、いろいろ不安に感じる話です。


まずは1月8日21時時点で状況をおさらい。
1度否決されたが再議で可決→浦添市、糸満市、本部町など
再議でも否決→うるま市、石垣市
再議も否決され、首長が応じないと表明→沖縄市、宜野湾市、宮古島市
3市が不参加、2市が再議も否決され、市長の判断がどうなるか予断できない状態です。

不参加を表明した自治体に対して、県は「県民投票は義務」として応じるように求めています。しかし、応じるかは不透明。
県が根拠としている地方自治法第177条とそれに関する話は、ほかでも解説や主張がなされているので、こちらは別の視点でまいります。

県民投票。広い意味では住民投票。
民主主義による政治・統治・行政の手段として必要な局面が出ることもある、重要な手段です。
県民投票、やるのはありだと思います。
でも、現状は疑問があり、批判的な立場になりますね。

では、今回の県民投票はどうでしょうか。
「いっぺん県民の意見を直接聞こうか」と、賛否双方の陣営が合意して決まったものとは言えません。県民投票実施の条例制定を求めて署名を集めたグループは元々「新基地反対派」ですし、県議会でも「新基地反対派」による賛成多数での可決。県議会では自民党も「選択肢に『条件つき』を入れたら」と歩み寄ったものの、省みられることはありませんでした。

これでは、民主主義の手段として「いっぺん意見を聞こうか」という姿勢よりも、「新基地反対の民意をぶつけるぞ」というパフォーマンスの性格が目立ってます。
今回の辺野古の件での県民投票。疑問があります。

しかし、現状は、県民投票に対する疑問や否定的な意見は「民主主義を冒涜している」「憲法違反」などと、時には高圧的とも受け取られる批判にさらされています。
不参加を表明した市長を相手どった提訴をしようという動きがあります。さらに法廷闘争にとどまらず、議会で予算案反対に票を投じた議員に対するリコールの可能性を提起する大学教授もいます(2019.1.7:沖縄タイムス)。
このような批判が続くと、今でさえ県民投票が「民主主義の実現手段」よりも「新基地反対派のアピール手段」の性格を帯びているのに、ますます民主主義から離れていきかねません。

では、どうすればいいのか。

まずは、今からでもいいので、実施日を少し遅らせてもいいので、条例を改正。
○選択肢に「条例つき」を加える。
○市町村議会での議決を求めない形で、県が実施の手筈を整えて市町村が投票事務をできるようにする。
これだけでもだいぶハードルが下がるはず。

それと、県民投票条例第11条にある「中立」条項を、知事を筆頭に投票事務に関わる県職員が尊重した行動をとること。“オール沖縄”の会合への出席はNG。辺野古の座り込み抗議やカヌー抗議への参加・訪問もNG。もちろん賛成側への接触も同様にNG。
実際、不参加を表明した宜野湾市の松川正則市長は、玉城デニー知事が埋め立て土砂投入翌日に抗議活動の現場を訪問したことを「情報提供を客観的・中立的に行うことを謳った条例第11条に抵触する」と批判しています。

条例改正と「客観・中立」の尊重で、だいぶ改善すると思います。
県政与党のみなさん、民主主義と全有権者の参加を尊重するなら、参加しやすくする改善、どうですか?


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コメント
この記事へのコメント
https://www.pref.okinawa.jp/kenkouhou/H30/9gatsu/180906gogai29.pdf
元々埋め立て承認撤回の後押し目的でやろうとしてたはずなのだから
慎重にやれば良かったのに。
ちなみに
平成11年第2回沖縄県議会(定例会)第6号3月1日
翁長雄志
「私は、1番目に、大田県政は県民の心を一つにするという意味で大変大きな間違いをしたと思ったなと感じております。
4年前の10・21県民総決起大会は、保革を乗り越えて基地の整理縮小、日米地位協定の見直しを掲げ、県民の心が一つにまとまった実に画期的な出来事でありました。
しかしながら、大田県政はあえて県民投票という実に戦略的な手法をとりまして大々的なキャンペーンの中で県民に踏み絵を迫ったわけであります。
県民感情を二分してしまいました。
私は、その後の紆余曲折はここから始まったと思っております。」
2019/01/09(水) 04:34 | URL | やっほい #-[ 編集]
まあ、アレでしょ。
言い出しっぺにしてみれば
「分断おかわり」
という事でしょ。

対立や反目が起こっている場所でこそ生活できるって人種も世の中には居るそうですし。
2019/01/09(水) 19:10 | URL | ハインフェッツ #-[ 編集]
>埋め立て承認撤回の後押し
そこ、忘れられてるかも。しかも撤回は県民投票を待たずして前知事の“置き土産”で執行・実現済。

>分断おかわり
しかも「民主主義を尊重しろ」という掛け声を使えるという。
2019/01/18(金) 00:07 | URL | まさや@なかのひと #-[ 編集]
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